浄土真宗本願寺派 小倉御坊 永照寺
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お寺の掲示板

お寺の掲示板:2020年8月

葉月

その人をおもいて われは生き
その人を忘れて われは迷う

お盆月に、様々なご縁をいただいた先達を偲び、今月の言葉は、昭和23年、金子大栄師の作られた詩、『親鸞讃歌(宗祖を憶ふ)』の一節より

昔 法師あり 親鸞と名づく
殿上に生れて庶民の心あり
底下となりて高貴の性を失わず
己にして愛欲のたち難きを知り
俗に帰れども道心を捨てず
一生凡夫にして 大涅槃の終りを期す

人間を懐かしみつつ 人に昵(なじ)む能(あた)わず
名利の空なるを知り 離れ得ざるを悲しむ
流浪の生涯に 常楽の故郷を慕い
孤独の淋しさ 万人の悩みを思う
聖教を披(ひら)くも 文字を見ず
ただ言葉のひびきをきく
正法を説けども師弟をいわず
ひとえに同朋の縁をよろこぶ

本願を仰いでは 身の善悪をかえりみず
念仏に親しんでは 自ら無碍の一道を知る
人に知られざるを憂えず
ただ世を汚さんことを恐れる
己身の罪障に徹して
一切群生の救いを願う

その人逝(ゆ)きて数世紀
長(とこしな)えに死せるが如し
その人去りて七百年 今なお生けるが如し
その人を憶いて われは生き
その人を忘れて われは迷う
曠劫多生の縁 よろこびつくることなし

(令和2年8月の掲示板)


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